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事故が起きるわけがないという安全神話〜原発再稼働をめぐる損得勘定 [国内衝撃ニュース]

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参院選のさなかの7月8日、原発の新規制基準が施行された。

この新規制基準施行を見届けたかのように、最前線の現場で陣頭指揮をとった元福島原発所長の吉田昌郎氏が、9日都内の病院で死去した。
被曝との関連は明らかにしていないが、未曾有の災害と続く原発災害との対応は、常人では想像もできないほどの激務とストレスであったことは想像に難くない。


安全保障を守るのは人間
吉田元所長が東京電力本店に反発したことによって、事故の拡大を防いだ発言がある。
事故発生2日目の11年3月12日、本店から1号機への海水注入を待つよう言われると、小声で「これから海水注入中断を指示するが、絶対に止めるな」と現場に命じた。

同14日、本店からの指示に対し「ベント開ける操作してますんで、ディスターブ(邪魔)しないでください」。
同16日、4号機使用済み燃料プールへの放水をめぐり、手順の明確な指示がないことに「そういうものなしに、ただ水入れりゃいいと思ってたのかよ。爆発したら死んじゃうんだぜ」と反発した。

吉田元所長は、東京工大での管元総理の後輩にあたるという。
しかし、文字通りの命がけで現場の状況を的確に把握し、的確な陣頭指揮を発揮した。
そして、東京本店からの指示は、政府官邸からの指示でもあったにもかかわらず、現場の状況を優先し反発した。

ここで明らかになるのは、機能不全だった安全対策と国が責任を持たないシステムだ。
その狭間で、元所長は決断を迫られていた。


申請した4電力会社5原発10基の損得勘定
申請したのは以下の10機。
1 北海道電力が泊原発1、2、3号機(北海道)
2 関西電力が現在稼働中の大飯原発3、4号機(福井県)と、高浜原発3、4号機(福井県)
3 四国電力が伊方原発3号機(愛媛県)
4 九州電力が川内原発1、2号機(鹿児島県)

東京電力は柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)の再稼働に向け審査申請を計画していたが、新潟県知事に一蹴され、申請は断念した。

新しい規制基準は、2011年の原発事故を教訓に重大事故への対策を義務付けるものとして制定された。
審査は半年以上かかるとみられ、運転再開は年明けになる見込みである。

各電力会社が再稼働を早期に実施したいのは、財務上の問題だけである。
記者会見でも臆面もなく、再稼働なしには電力値上げを匂わせる発言を打ち出している。

特に東京電力は、政府からの資本注入によって自己資本比率が上がっているものの、営業赤字は膨らんでいる事実がある。



これまでの原発の安全対策
信じがたい事実だが、重大事故の安全対策については、これまでは電力会社の自主規制で運用していたのだ。
国策としてすすめられてきた原発が、一民間会社の自主的な運用で安全保障されていたのかと思うとき、やはり起こるべくして起こった人災と言うべきである。

国が安全基準を制定すると、最終的に国の責任となるから文書化しなかったという推測も現実味を帯びる。

事故から2年以上経過し、やっとできた安全対策の規制基準。
バグのないプログラムが存在しないように、人間の作ったシステムはすべからく欠陥がある。
規制委員会は世界一厳しい基準といっているが、世界の情勢から見ると常識的なことがらばかりで、やっと世界に追いついたといった形だ。


規制基準策定をめぐる政治の側面
2012年12月、原発事故以来、初めての国政選挙で自民党が圧勝した。
実状は消去法で自民党が浮き出ただけであるが、原発を推進してきた自由民主党が結果的に圧勝した。
他の政党が、明確な原発後のエネルギー政策を打ち出せなかったことで自滅していった。
事実、自民党の獲得票数は前回選挙と同数程度だった。

政権奪還を果たした自民党安倍政権は、早速、民主党の「原発ゼロ」政策を白紙に戻し、「安全性が確認された原発は動かす」方針に切り替えた。
それが今回の新規制基準による「原発再稼働」申請だ。
政治的な圧力がかかってないはずがないと見るべきだ。


ソフト(人的要因)としての安全保障
国会事故調査委員会は昨年7月、原発の監視・監督を担う旧原子力安全・保安院の機能が、福島第1原発事故前から崩壊していたと厳しく指摘した。
ハード面の安全基準を積み重ねたとしても、組織・人間が機能不全になっていれば到底活かされない。


『原発ゼロ』は国民の総意か
『原発ゼロ』を唱えることは容易い。
しかし、それだけでは思考ゼロに陥る。

推進してきたのは原子力ムラであり、その恩恵を受けたのは日本経済であり、被害を受けたのが地域の方であり、復興するのは国である。
すべて国民なのだ。

次世代のエネルギー政策はどのようにするのか。
100年後の日本はどうあるべきか。
待ったなしの決断を国民は迫られている。





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